佐賀北高 甲子園日記
2007年
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2007年8月8日 (水)甲子園開幕戦はたこやき 「北高、はじまるぞ」 K高氏より電話。 テレビの前にいって観戦。 佐賀北高対福井商高。開幕試合。 2ー0で北高が一回戦突破。 ソリストが上手いのか、よくおもってなかった校歌がカッコよく輝いて聞こえてくるのであった。 勝利監督インタビュー。 「9回にタイムとって、どんな指示を出されたんですか」 「スイマセン・・。たこ焼き食いにいくぞ、と言ってこいと言いました。スイマセン」 「リラックスさせるためにですか・・?」 「はい、伝令がびっくりしてました。スイマセン」 何考えとるんか、百崎監督って、まじめな顔しておもしろいやっちゃ。 アグレッシブないいチームを作ったものだ。 馬場くんも久保くんもよく投げた。また、しっかり頼むよ。 今度勝ったら、おいちゃんがたこ焼きおごるからね。 2回戦、どこと当たるかしらんけど、KITAKO健児諸君、百崎監督さんぞんぶんにやってください。 再びK高氏より電話。 「ほんと、意外にも勝手しまったね、とにかくおめでとう」。 |
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2007年8月14日 (火)すごい 佐賀北高対宇治山田商戦は疲れ果てた。 ユッくんが遊びにきて、飛んだりはねたりで応援するもので、2倍疲れた。 すごい試合だった。 親戚に向かうタクシーで 「県出場校であんなスゴイ試合は今まで見たことない・・」と運転手さんが噛みしめるように言った。 延長15回でも4-4のまま決着つかず、16日に再試合となった。 北高の影の部分に光をあてた栄光の後輩たちである。 北高と宇治山田商のドラマである。次もドラマが見られるか! |
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2007年8月16日 (木)ところで 引き分け再試合が朝一番にあった。 結局、北高が9-1で明日の3回戦へ。 また明日か、対前橋とは第何試合だ・・? ところで、今夏は花火も精霊流しも見てないなぁ。 |
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2007年8月17日 (金)ベスト8のクールなたこ焼き 北高、また(浜松商に)快勝しました。 まずは、選手と監督さんにお疲れの感謝、ありがとう。 よろこびたいけど、「まだよろこんではいけない」と何にかに静止される。 中継中の電話の向こうの友人や同窓生らの声もはしゃぐでもなく、我を抑え、自制気味。 その向こうに北高というあの時代を反芻,内省しているように見える。 自分の人生であるのだけれど、多くは対外的な事象で泣きもすれば、よろこびもしている。 それが、地域でも、国でもない、同じガ学び舎の人たちであるという、 ことは、この上なく幸せでうれしいことであります。 仕事帰りのKちゃんがひょっこり現れ、サッカーW杯観戦のように盛り上がる。 日本中が北高に応援してくれたいるようなそんな雰囲気さえある。 本来の高校野球の形が結実していくようにさえ、今はおもいはじめた。 諸君の人生はこれから、まだ長ーく長い。 ぼくらも「これからだ・・」が言葉だけじゃない実感を知る。 「ねばれ、きばれ、がんばれ」かつて、高校野球の度に細い体で重い校旗をささげていた 糸山・北楠会館長の”三ばれ”精神が結実したと言ってもイイ。 どうしても、ぼくら先人は精神論的方向になってしまって、ごめんね。 君らのものおじしない青春に乾杯。 |
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8月19日 (日)監督采配 今日はなんといってもコレ。 佐賀北高対帝京高戦。 勝つとはおもっていたが、ほんとうになって最高に感激した。 これが現実、事実なのだ。 予想通り相手監督が乱れてくれた。こうなるとしめたもの。 どんどんナーバスになり青筋立てて興奮していく。これにてまず勝負あった。 一方北高監督は、スクイズ失敗にも、指でポーカーフェースのコメカミをかいているのであった。 仕事人の中村主水のように・・。 北高ののびのびプレーが勝ちを呼び込んだのは、当然だが、 同時に相手が、じわじわと自滅していく形でもあった。 北高と対戦した高校はまず監督が、どこもつぶれた、つぶされたという印象がある。 普段やってることとちがうことをやったり、指示があいまいになっていくのだった。 選手にすれば「やってられない・・」の一言も吐きたくなりそうなのだが、そこが高校生。 監督らに精神的安定と強さが欠如しているようにおもえてならない。 それくらいのことで、名監督だのベテラン監督などといってる解説者もおかしいのだ。 百崎・たこ焼き監督は、「なるようになるさ・・」とまるで昼行燈の構えにも見える。 それが、本当の姿であろうはずはない。必殺仕置き人たるは、そうなのだ。 のびのびとプレーし闘志を表現しても、どこ吹く風の素敵な北高球児。 素朴なんてものじゃない、たくましいのだ。いつからこうなったと問たくなるも、 この百崎監督あってのことで十分だろう。 快進撃をやってればこそ言えるという理論ではない。 高野連も関係者もこれで飯食ってる連中も、きれいなキャッチコピーとは裏腹に、 脆弱に露呈する制度疲労に目を向けない。かたく貝のように解説者もくちを閉ざす。 そのためにもぜひ優勝してほしいと願う。 |
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8月20日 (月)浦島 明日は甲子園にいくことに決めた。 この現実に立ち会わないと、僕のやってることも危うくなりそうな気がした。 かつて、下落合の蒲原マンション(下宿)に出入りしていた面々といく。 一種、時代を超えての行脚のような一つに気持ちがつながる瞬間である。 興奮は遠い日の遠足だけではないのねぇ・・。 行けないおいちゃんたち、いってくるよ。 ツンちゃんが電話してきた。 今マドリッドにいると・・。、 「磁場」を忘れるところだった。 今日は何の日と聞かれたら、磁場の飾り付けの日だった。 冷房も入れない休館の図書館で地場展の飾り付け。 全員、全身ずぶぬれのリンダリンダのどぶネズミ状態。毎年のこと。 どうしても全体の方向が甲子園にゆれながらの夕方まで。 佐賀の町で前夜宴。 ここには北高もよせつけず、しっかりと磁場の話。 こんな痛快な芸術会話してるとおっさんたち、若者に見えてしまう。 いやいや、背景に北高があるのかも・・。 朝が早いんでお先vに失礼。 というよりは「早く帰らんば・・」とはじめて聞いた言われた。 あんたたちも男やねぇ。 磁場の初日。スタンドでは磁場のこと忘れてるから、よろしく。 かなり、縁起担ぐ言葉ひかえてる。キビシー。 早く楽にして・・。 |
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8月21日 (火)北高対長崎日大 新幹線で10時38分に新神戸に着く。 そして、電車で甲子園へ向かう。 近ずくにつれ興奮が増してくる。 まさに闘いである。 甲子園のツタはもう無く、改装工事中だ。 ま裏の21番ゲートに向かう。すでにグリーンのTシャツ、グリーンのキャップを かぶった北高生応援団が球場をとりまいて待機している。 「先生」と声をかけてきたのは、かつての塾生・Y子ちゃんであった。 21番ゲートにてチケットと弁当をもらい、さっそく木陰で弁当をいただく。 時折、前試合の広陵−常葉菊川戦の歓声が聞こえてくるが、 観戦する気はまったくない。北高のみに集中したい。 試合も終盤、4-0で広陵がリード。僕らは一塁側アルプス入場口に並ぶ。 場内で「ワーッ」と歓声が上がり、不吉な予感。 情報によれば常葉菊川が9回裏に3点入れ、攻撃中と言い、 北高応援団にもどよめきが起こった。 延長戦にはなってくれるなよ、の願いである。 結局4-3で広陵がの勝ち。 薄暗い通路を通って一塁側アルプスへなだれこむ。 7年ぶりの甲子園がまぶしい。 北高対長崎日大。練習試合で北高は6-1で負けたというが、 今更どうでもイイこと。 馬場くんがまず最初のバッターを打ち取り、すべりだしは良さそう。 M博ちゃんの解説を聞きながらの観戦はたのしい、 解説通りになるのだ。 いつの間にやら9回。 7回から久保くんのリリーフで危なげなく勝ってしまった。 ぼくらも予定通り、ホントに決勝戦まで残ることになった。 神戸チサンホテルのロビーでくつろいだ服装の男が「北高の方ですか」と 声をかけてきた。広陵のOBだったので 「明日はイイ試合をしましょう」とエールを送った。 ホントニにほんとになってしまった。困ったような嬉しい顔して、 神戸駅前の居酒屋で同行者6人は祝杯をあげるのだった。 ところが、ちょっと離れた席に数人のグループ。 ちょっと気になる広島弁だ・・??。 |
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8月22日 (水)決勝戦 神戸チサンホテルの朝食はバイキング。 和食、洋食と品数も豊富な上、どれも美味い。かといってやはり、腹八部がよさそう。 9時、ホテル地下の駅から直行電車で甲子園へ。 甲子園周辺はすでにすごい人の波、そして行列。 昨日と同じく21番ゲートでチケットと弁当をもらい、さっそく入場。 10時開門、1時からの試合でもスタンドが埋まっていく。今日は三塁アルプス席。 早くも北高がベンチ入りし、練習を始める。 暑いけど、待ち時間もディズニーランドにでもいるように苦にならない。 GELちゃん、山ちゃんもやってきて、美術室か蒲原マンションだナ。 バックスクリーンの時計の針が12時になり、もう一周して1時になった。 U-UU〜う〜、サイレンが鳴り、決戦の火ぶたは切られた。 しかし、2回に2点をとられ、途中、馬場くんから久保くんに早くも交代。 毎回ランナーを出すも、守護神・久保は点を与えない。 7回に2点をとられ、無失点神話は37イニングで終わった。 7回裏、北高は簡単に三者凡退となり、暗雲がたちこめそうになるのだが、 応援がそれを阻止した。今までの数倍のボルテージでスタンドを揺るがし、 全員立ち上がっての応援なのだ。 8回裏2アウトからだれがあんなミラクルドラマを予想しただろうか。 副島くんに「デッドボールでもいいから出てくれ」の心中で、 相手ピッチャーの出来からしてホームランのイメージなど浮かばなかった。 ところが、現実に、目の前でそれは起こった。 時間と音が一瞬止まり、白球はスタンドに吸い込まれた。 満塁ホームラン・・・・・・。 スタンドが唸りをあげ歓喜にむせび抱き合った。 昨夜、居酒屋にいた広島のグループから聞こえた二言。 「佐賀北は弱いね、・・負けるね・・」。 こちらが準決勝の勝利と決勝の期待に酔っているのに、 彼らは淡々とクールなのだ。何を根拠に・・? 今日の日本を代表するようなあめでたいフヌケた奴らだ。 今でも気づいておるまいが・・。 今日もホントが本当になった。北高健児が優勝旗をもって、グランドを行進している。 スコアー塔の上には北高校旗がはためく。それを僕は歓喜にむせび見ている。 願いが事実となって現実になって、しかしそこで終わろうはずもない。 球場を出ると市丸キャプテンのお父さんと会った。しばし感謝と称賛の立ち話。 新幹線の待ち時間を使って、うどん屋で祝杯。熱い体に沁み渡るビールだ。 時間があればいつまでも呑んだろうに、K社長が隣席の若い神戸の女性お二人に 北高と佐賀の物産の宣伝をはじめる。「九州にまだ行ったことがない」と いうお嬢さん方だけに、興味ありなのだが、時間となった。小さな交流にはなったろう。 |
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8月23日 (木)凱旋 一夜明け、夢のような時差ボケのような不自然な自分。 虚脱感ともいうのだろう、しかし、押してクリニックにいく。 朝の会でほぼ全員が北高の満塁ホームランの話をされた。 元々人がいない町だが、街から人が消えるわけだね。 でも、まだ一つも二つも興奮が足りないようだが、そうか・・、 皆さんには興奮は禁物なのだった。 磁場展の当番でもあり、市立図書館へいく。 真子さん当番されてた。 そこへ、会議を終えた秀島市長が、素通りせずに寄っていかれた。 簡単な作品説明はしたけれど、磁場の作品はお解りにくそうであった。 図書館のバルコニーから北高への通りを見ると、3時半ごろには渋滞がはじまった。 凱旋のナインを歓迎、一目見ようと北高に向かっているようだ。 佐賀商高が優勝した時、ボクは、歓迎に佐賀商高までいった。 今回は母校なのに、いくのを止めようと決めていたが、 渋滞を見るに心揺らいできた。 娘からメールで、博多駅での北高ナインの大歓迎を知った。 バスで佐賀へ向かったようだ。となると北高到着は5時過ぎになるようだ。 当番を真子さんに御頼みして、Kちゃんと徒歩にて北高に向かう。 大勢の人がぞくぞくと北高に集まってくる。 各テレビ局の中継車が駐車場を占領し、人々にマイクやカメラを向けている。 上空にはヘリ、セスナが4機。 ナインを乗せたバスが歓声と手旗に出迎えられ校門を入ってきた。 「おかえり、お疲れさん」。 窓側に久保君を先頭にレギュラーが座っている。 歓迎の人の多さに驚いては、いるようだが、 ここでも基本的には全員平静を保っている。 バスから降り校内の仮設セレモニー席まで行進したのだが、 それが、見えない、「押さないで」「アブナイ」の悲鳴も上がっていた。 ボクもここで再び火がついて、昨日の続きのように全身汗でずぶぬれになってしまった。 彼らはしばらく新聞テレビにおいかけられることだろうが・・。 |
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9月2日 (日)博多の人午後には博多にいた。 このところ、娘たちが「来てくれ」と誘う。 彼氏はいないのだろうか。 雨の博多だが、人が多い。日本の中の都会だからしかたがない。 こうやってボクらも佐賀の人口をへらしている。 本屋で北高甲子園の写真集をみつけた。 佐賀新聞と西日本新聞の2種類があり、両方とも購入。 西日本の方が安くコンパクトで記念誌としては上手くまとまっているようだ。 自分が、写っていないかと探すがない。 ボクがいた最上段を写したものなど一枚もない。 下方にいたK社長はK社長と判るほどに愛娘さんとちゃっかり写っている。 優勝の現場はどうだった?と娘らは聞くが、何故か感情が入らない表現になる。 まるで何かに取りりつかれた宇宙飛行士のようだ。 ショッピングも以前にくらべると慣れてきて、ついて歩くのもいやでなくなった。 ある意味、いつまた皆といっしょにいられるか、わからないかとも・・。 おやじ一人ではとても近寄れないいろんな店に入れるのは、結構おもしろい。 世界に冠たる日本の自由奔放なファッションや遊び文化の一端を垣間見せられる時間でもあった。 |
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9月3日 (月)ツクツク法師 S子さんは佐賀商業が優勝したとき、その後2か月ぐらいほとんど 毎日決勝戦のビデオを見ていた。 それが母校とあれば、外がよろこぶほどに同じにならない。それはボクとて、 同じ。ましてや奇跡の現場にいただけに、もうそれだけで十分すぎる。 刺身を前にプシッと缶ビールを開け、何とはなしに録画のスイッチを入れる。 帝京戦が終わると、広陵戦を見る。 やがては薄れていくけれど、この充実した感覚はなんなのだろう。 皆でよろこぶよりは一人静かにだ。 それを成し遂げた北高諸君もこれから先は長い長い道のり。 負けた方にも新たにそれ以上のドラマがはじまる。 |
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